だしソリューション vol.21 | マエカワテイスト株式会社 | 醤油の名産地播州・世界文化遺産姫路城の麓から歴史と美味しさをお届けします。

DASHI SOLUTIONだしソリューションvol.21

「だし」は世界を救う！

●「全削協」総会

２０２３年５月２４日(水)４年ぶりに（一社）全国削節工業協会の総会がホテルオークラ神戸で開催されました。
久しぶりの対面で参加者も多く盛況な総会となりました。
その際に「鰹だしがもたらす心身の健康」というタイトルで龍谷大学の山崎英恵先生の講演がありました。
鰹だしは身体だけでなく心にも効果を及ぼすという内容でした。

●コンフォートフード

その講演概要は下記の通りです。
コロナ禍を契機にストレス要因が増え、心身に不調を抱えている人の数は近年ますます増加しています。
そのような中で「心地よい食」と訳される「コンフォートフード」が学術論文で取り上げられるようになりましたが社会的な認識はまだまだ低いようです。
ストレス解消のために食べられる高カロリー・高脂肪・高糖質の食事はストレス解消と引き換えに肥満や生活習慣病となる悪い食と捉えられています。
一方、和食のだし(鰹だし、合わせだし)は健康を害さないコンフォートフードであり、その活用により心身の健康増進・疾病予防が期待できる食材です。（上記の講演資料より抜粋）

●「だし」の可能性

低カロリー・低脂肪・低糖質の和食のだしは「うま味」を持つだけでなく健康を害さないコンフォートフードでありその活用により心身の健康増進・疫病予防ができる食材であると、私も考えています。
また山崎先生は「近頃は海外での和食の人気も高く、鰹節のだしも好まれるようである。
慣れると満足感や心地よさを実感できるようになるのかも知れない。
だしの心身への健康効果は和食が有する優れた機能性の一つである。」とも言われています。
ストレスのたまった世界中の人たちへ「心地よい食」が広がれば、「だしは世界を救う」ことに繋がるかも知れません。

感謝
マエカワテイスト株式会社
前川隆嗣

Dr.Toshi(ドクター・トシ)の
ミニ講座 Vol.93

食品のグアニル酸

三大うま味成分を覚えているかな？

はい、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸です。

そうだね。グルタミン酸はアミノ酸系のうま味成分で、イノシン酸とグアニル酸は核酸系のうま味成分だね。グアニル酸やイノシン酸などの核酸は、少量でグルタミン酸のうま味を増強するんだね。

グルタミン酸は昆布に豊富に含まれ、イノシン酸はかつお節、グアニル酸はきのこ類に豊富に含まれています。

その通りだね。アミノ酸系のうま味成分であるグルタミン酸と核酸系のうま味成分のイノシン酸・グアニル酸を合わせて摂ることによって、うま味を何倍にも強く感じられるね。これをうま味の相乗効果と呼んでいるね。

はい！昆布だしやかつおだし単品よりも合わせだしの方が、うま味を強く感じます！

では、グアニル酸はどんな食品にどのくらい含まれているか、知っているかな。調べてみようか。

興味があります。

まず、私たちが日ごろ食べている食品の中に含まれるグアニル酸量（mg/100g）をみると、干し椎茸150、海苔3～80、ドライトマト10、えのきだけ50（加熱時）などだね。※1

やはりきのこ類にたくさん含まれているのですね。しかし、ドライトマトや海苔にもたくさんふくまれているとは意外ですね。

わが国では古くから干し椎茸が使われているが、ヨーロッパでは、保存食であるドライトマトが利用されているんだよ。ドライトマトはお湯につけて戻してから料理に使われているよ。

なるほど。グアニル酸がたくさん入っているので美味しいのですね。

戻し汁を料理に利用することもできるね。

なるほど。

生のトマトをオーブンで加熱しても、グアニル酸とその分解物であるグアノシン（うま味増強効果はない）が増加することが知られているんだよ。とくに70°C以下の温度でこれらが増加すると考えられている※2。

いろいろなことを知っていると、料理がますます美味しくなりますね。今日もありがとうございました。

出典：

※1 うま味インフォメーションセンター

※2 安藤、堀江：トマトのうま味成分グアニル酸が加熱調理で増加